葉タバコの収穫最盛期 1年で生産者“3分の1減”背景には廃作募集 伝統継承へ危機感【佐賀県唐津市】 (23/06/08 18:15)

【川野優也キャスター】
たばこの原材料となる葉タバコについて。いま、生産地・唐津市で収穫の最盛期を迎えています。
【中俣理子キャスター】
一方、需要の低迷を受け、県内の農家は20年前と比べ3分の1以下に減っています。

【橋爪和泉記者】
「葉タバコは青々とした若い葉…ではなく、一番下の黄色に熟成した葉から摘み取ります」

明治時代・1890年代から葉タバコの生産が行われている唐津市と玄海町の上場地区。
現在、50人の農家が約1万3000アールの畑で葉タバコを栽培していて、その面積は全国で8番目に広く主要な産地として知られています。

栽培されているのは肉厚で香り豊かな「黄色種」で、1キロあたり2000円を超える高級品です。
このうち坂本幸雄さんの畑でも今、収穫のピークを迎えていて黄色に色づいた葉を一枚ずつ摘み取っていました。

【西九州たばこ耕作組合 坂本幸雄副組合長】
「気温も高くて、植え付けた後も適度な降水量で順調に推移している」

今年は農家当たり約250キロの収量を見込んでいて、葉タバコの収穫は7月まで行われる予定です。
一方、県内の葉タバコ農家は減少傾向にあります。
20年前は160人でしたが、現在は3分の1以下にあたる50人まで減少しました。
特に去年はおととしと比べ約4割の農家が一気に生産を辞めています。
背景には日本たばこ産業・JTによる“廃作募集”があります。
健康増進法の改正などによる喫煙所の制限や増税に伴い需要が減ったことからタバコの生産量を抑えるため、おととしJTが全国の農家に“廃作”を募ったのです。

これに伴い、県内でも78人の農家のうち28人が廃作を決断しました。
唐津市で明治時代から続く伝統的な作物の葉タバコ。
喫煙に対する世間の風当りが強まるなか、坂本さんは伝統継承へ危機感を募らせています。

【西九州たばこ耕作組合 坂本幸雄副組合長】
「大変いじめられている葉タバコ業界だけど、やっぱりこれだけの基盤を整備しているので畑作の基幹作物としてたばこが増えていくことはないと思いますが、できる限り協力して残していきたい」